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友人のI君と奥高尾方面をハイキングしようということになった。この方面は休日は大変な人出だろうから、それを避けるために仕事をやりくりして休暇を取り、コースとしては相模湖から明王峠に登り景信山を経て日影沢林道を下るというもの。結構長いコースだ。I君とは去年の夏に櫛形山に一緒に行って以来の登山だ。 高尾始発の河口湖行き電車内で待ち合わせることにしたが、中央線のトラブルで電車が遅れ、高尾駅に到着したのは目的の電車の発車数分前。高尾駅の乗り換え階段は狭いところに大勢の人が集中してなかなか階段にたどり着けない。やっと階段を登り切ると大半の人は京王線への乗り換え口の方に向った。高尾山に行くのだろう。発車時間になったがI君は現れない。中央線のトラブルの影響で発車は遅れるとのアナウンス。そうこうするうちにやっとI君が現れた。電車が遅れたせいか大分疲れた顔だ。I君は北海道の長旅から帰ったばかりでもあり大丈夫だろうか。 数分遅れで電車は発車し無事相模湖駅に到着。すぐに歩き始める。空には雲一つないピーカンだ。藤野寄りに電車に沿って少し歩き、中央高速を橋で越えると與瀬神社への入口だ。 階段を登り與瀬神社にお参りした後、神社の横手から登山開始。杉の植林地をぐんぐんと登ると徐々に傾斜が緩くなり孫山の巻き道に入る。整然とした植林の中を緩やかな登りが続く。 秋の花が目を楽しませてくれる。これはアキノキリンソウ。 サラシナショウマの花にはアサギマダラが来ていた。 大平小屋に近付く頃、後ろを歩くI君が声を上げたので引き返してみると、道のすぐ脇には地面を這ったツルリンドウがある。ただ、蕾は数個付いているものの花は咲いていなかったので撮影はしなかったが、I君のお陰で初めて見ることができた。いよいよ明王峠への最後の登りにかかる。と、またもやI君が声を上げた。見ると、やはり地面を這ったツルリンドウだ。枯れかかった蕾があるだけで花は咲いていない代わりに綺麗な赤い実が付いている。 峠の直下で白い小さな花を見つけた。近付いて見るとセンブリだ。いつ見ても気品がある花だ。 明王峠に到着。峠とは言ってもなだらかなピークで今日のコースでは最高地点だ。快晴だった天気はいつの間にか雲に覆われ曇天に変った。ここから陣馬山から高尾山への縦走路を東に向って進む。林床にはモミジガサが咲いている。 そして、やや明るい林の下でついにツルリンドウの花を発見。たった一輪だけしか咲いていないが、淡い紫色のグラデーションが美しく気品のある花だ。 景信山に近付くにつれてヒキオコシの群落が目立つようになってきた。 この辺りから空模様が怪しくなりポツポツと雨粒が落ちてきた。やがて本格的な降りになり傘をさす。1時過ぎに景信山に到着。さあ、売店で名物のなめこ汁をと思ったものの生憎売店はお休み。仕方なしにおにぎりとお菓子で昼食を済ませる。昼食を食べているうちに雨が一時的に上がる。雲が山に沿ってどんどん上昇する。 遠くもはっきり見えるようになり、はるかかなたに東京の高層ビル群やスカイツリーも見える。 ここまでゆっくり植物観察しながら歩いたせいか、思ったより大分時間がかかってしまった。そこで、日影林道を下るのは止めて高尾山からケーブルカーで降りることに変更して、ともかく先を急ぐことにした。下り始めるとすぐにオヤマボクチを発見。夏に鹿沢で見たハバヤマボクチと近い種類であることはすぐにわかる。ハバヤマボクチに比べてやや小ぶりな印象だが色合いは錆色で迫力満点だ。 登山道に沿ってユウガギクの群落が美しい。 雨が降り続き道は泥んこになり滑りやすい。ズボンの裾は泥だらけだ。木立に覆われた薄暗い小仏峠を通過し城山はまき道を通り一丁平に着いたが、時間が遅くなってきたのと雨のため、ツルリンドウを探すのは諦めて先を急ぐ。4時半近くにやっとケーブルカーの山頂駅に着き、今回のハイキングは無事終了となった。雨には降られたが、翌日、翌々日の真夏のような快晴に比べれば植物の観察にはむしろよかったのではないか。
by yk837
| 2013-10-12 15:22
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